雛人形を知る
奈良時代の厄を移して流した「流しびな」
平安時代のお人形遊び「ひいな遊び」
今日に至るまで時代と共に形を変え、
私たちの生活を彩ってくれる「おひなさま」
現代のひな人形はお衣裳も表情も様々。
飾り方や姿など楽しんでご覧ください。
種類
衣裳着人形【いしょうぎにんぎょう】
人間が着る着物と同様に生地を重ねて仕立てた
衣裳を胴体に着せ付けて作るお人形です。
お顔と胴体は別の作家が製作し、完成した胴体に
お顔を取り付けて仕上げます。
木目込人形【きめこみにんぎょう】
桐塑【とうそ】(桐の粉に糊を混ぜて練ったもの)
で作られたボディに筋彫りを入れ、その溝に生地を
埋めて作るお人形です。
ボディの型がそのままお人形の大きさになります。
姿
座雛【すわりびな】
江戸時代から現れた男雛・女雛ともに座っている姿のひな人形。
最も一般的で流通量が多いため、豊富な種類がございます。
立雛【たちびな】
神雛・紙雛とも呼ばれ、ひな人形の原型(ルーツ)といわれております。
男雛・女雛ともに立っている姿で、場所を取らずシンプルに飾ることができます。
立座雛【たちすわりびな】
男雛は立ち姿・女雛は座り姿のひな人形。
流通量が少なく希少で、動きのある演出をお楽しみいただけます。
飾り方
平飾り【ひらかざり】
一段で飾るひな飾り。
男雛・女雛の美しい魅力を間近で見ることができます。
比較的コンパクトで飾りやすいのが特徴です。
収納飾り【しゅうのうかざり】
収納箱と台が一つになったひな飾り。
台の中にお人形やお道具が納まり管理しやすいのが特徴です。
段飾り【だんかざり】
たくさんのお人形やお道具を見やすく、壇に飾り付けるひな飾り。
見応えを感じる豪華な装飾が特徴です。
一般的には三段・五段・七段という種類がございます。
組合せ
同じお人形でも、背景のお屏風(びょうぶ)・雪洞(ぼんぼり)・お花など
飾り方によって雰囲気が変わります。
アレンジを楽しんでお飾りください。
髪型
大垂髪【おすべらかし】
江戸時代の頃からの女性の髪型になります。
武家風と宮中風があり、一般的におひな様は宮中風のヘアスタイルです。前髪を膨らませ後頭部で揃えて束ね、背中に長く垂らしている髪型になります。
下げ髪・割り毛【さげがみ・わりげ】
『源氏絵巻』にも見られる平安時代の貴族たちが用い、誕生した日本古来の女性がしていたヘアスタイルです。江戸・明治期のひな人形に使用されていた髪型になります。
お顔
お顔の素材は「桐塑頭」と「石膏頭」
お人形のお顔の部分を頭(かしら)と呼びます。
お人形の全てを人形師が製作していると思われがちですが、実は人形師の仕事はお人形のボディを作ることです。
お顔の部分は頭師(かしらし)と呼ばれる、お顔を専門に製作する職人がいるのです。
ひとつのお人形を製作するにあたり人形師・頭師・結髪師・木手師など様々な職人によって仕上げられています。
永光ではお人形の衣裳に合わせて、一つひとつ頭差しという作業を行い、お人形を仕上げております。
桐塑頭【とうそがしら】
伝統的な工程で天然素材から造り出す。
桐の粉を正麩(しょうふ)と練り合わせ、貝の殻を細かく砕いてできた胡粉(ごふん)を膠(にかわ)で溶いて塗る製法で作られた頭です。
天然の素材を使用するため、乾燥によるひび割れなど管理の難しさもありますが、現在では製造する職人が少ないため、希少なものでもあります。
石膏頭【せっこうがしら】
種類が多く選びやすいポピュラーなお顔。
全国的なシェアも広く、石膏を使用しているため表情や品質も安定しています。
若い頭師や美術工芸の方など職人さんだけではなく、様々な作家がいるため、バラエティに富んでいます。そのため、お気に入りの顔に出会える確率が高く、選択肢が多いというメリットもあります。